俺の好きな人は、俺の兄貴が好き。
涼すけは、俺のことを見ないけど
でもすぐに俺はふわっとした涼すけの香りに包まれた。
「私だって、ずっと好きだったわバカ」
そんな言葉と一緒に、
涼すけは俺を抱きしめていた。
「なのに急に碧翔が遠くに行っちゃう気がして、めっちゃ焦ったじゃん」
「はぁ?俺はどこにも行かねぇっつーの。
…むしろ離れないようにって、いつも必死だったわ」
ザ・陽キャなお前らに釣り合うように
オシャレにも気を付けてさ…
「ね、碧翔」
「んー?」
「…私と付き合ってくれますか?」
「……それ、俺のセリフなんだけど」
「はは、じゃあ言ってよ」
涼すけは俺に抱き着いたまま、俺の胸元に顔を埋めたまま
そんな可愛いことを言ってくるから
俺も、もう顔がすっげぇ暑いけど
「…俺と付き合って」
涼すけを抱きしめて、ちゃんと言った。
照れてもごまかさない。堂々とそう言った。
「ふふ、うん。ありがと」
彼女、か。
やばい、にやけんな俺
かっこつけろ、俺
「あはは、碧翔顔真っ赤」
「はぁ!?うっせ!」
…ま、そんなかっこよくはいかないよな、俺…
「ねぇ、碧翔」
「ん?」
「碧翔の演技すごかったから
またいつか見たい。碧翔の演技」
「…なんだ、それ」