俺の好きな人は、俺の兄貴が好き。
「まぁでもそんな深く考えなくていいんじゃない?
私はたぶんこれから先もASAHIくんのファンやると思うけど、それとこれとは話が別って感じだし」
涼すけはそう言って俺に笑いかけた。
…ま、難しいことはこれから少しずつ考えていけばいいもんな。
「・・・でもたぶん母さんが家に連れて来いって言うんだよな、普通に…」
あの人本当、こっちの苦労も知らないで
俺たち子供に興味深々だし…
「別に親に言わなきゃいいんじゃね?」
「…ま、そうなんだけど」
でもなんか父さんが余計なこと言ってそうー…
たぶん告るってもうバレてるし…
「あ、ってかもう20時!そろそろ帰る?」
「え、はや!もうそんな時間?」
「どっちみちここももう出る時間だしね」
「帰るか―」
カラオケももう出ないといけない時間だったし
俺らはそのまま帰ることにした。
金も払って渋谷駅に向かう俺らに
「てか碧翔
もう遅いんだし、涼のこと送ってけば?」
「そうだよ!
女の子1人じゃ危険だよー!制服だし!」
こいつらはまたそんなことを俺に言う。
けど、それも確かに…
「…おう、送ってくわ!」
「いや別に大丈夫だよ」
送ってく!って言ったのにあっさり断られたよ、くそ
「電車も別に1人なわけじゃないし、うち駅からすぐだから全然大丈夫。
わざわざ電車賃使ってまで送るようなところじゃないから」
「そ、か
んじゃ駅までは行くわ」