俺の好きな人は、俺の兄貴が好き。



俺はスマホを握りしめ、LINE送るのもめんどくて
そのまま涼すけに電話をした。

普段ぐだぐだLINEしてるのはいいのに、用があると途端にめんどくなるって不思議な現象だよな


『もしもしー?どうしたの?』


すぐに出た涼すけだけど
後ろからはなんか声や音が聞こえてきて
どう考えても外にいる。

家にはいない気がする。…これは無理か?


「あー…、今日暇だったら会えないかなと思って」


たぶん無理だろうな、と気まずそうに言う俺に対して涼すけは


『え!碧翔暇なの!?
それなら今か行かない!?』

・・・横浜ぁ?え、今から?


「・・・なんでまた横浜なんだ」

『今日ASAHIくんのイベントで!
16時からだから、今ちょうど家出て電車乗ろうとしてたの!
どうせ渋谷で乗り換えて東横線で行こうとしてたし、渋谷駅で合流しない?』


・・・朝陽のイベント…
いや、ファンなの知ってるけど…
俺の兄貴だと知っても俺を誘うのか、お前は…


「・・・まぁいいけど」

『んじゃ15分くらいでつくと思うから、碧翔も着いたら教えてー』


15分!?
いや、俺起きたばっか・・・


俺はダッシュで顔を洗って歯磨きをして髪の毛も適当に整えて
服も着替えてリビングへと向かった。


「母さん、駅まで送ってって!!」

「え、駅?」

「彼女連れてくるから!
たぶんもう駅つくから!」


もう電話切って10分以上たってる
そろそろ涼すけが渋谷についてしまう!!

こんなダッシュで支度したの初めてだわ…


「はいはい、わかったよ」


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