俺の好きな人は、俺の兄貴が好き。



俺は母さんに駅まで送ってもらって、ダッシュで改札を通って
東横線ホームへと向かった。


「あ、碧翔ー」

「涼すけ…まじで急すぎて超ダッシュで支度したわ…」

「あはは、ごめんごめん
別にもう少しゆっくりでもよかったのにー」


・・・っていって、彼女待たせてんのわかってながらゆっくり準備なんかしてられるかよ…


「腹減った…」

「よし、とりあえず横浜行って、整理券貰ったらご飯だね!」


そんなことをいいつつ、混雑する電車に俺らは乗り込んだ。


休みの日に、電車賃を使って
兄貴に会いに行く俺っていったい・・・

…ま、服買うから母さんから金貰えたし、別にいいんだけどさ



腹減ったな、電車混んでるな、なんて考えていると
俺の手になにか触れて

考える暇なく、俺の顔はまた熱くなっていく


「ふふ、こんなことで顔赤くなるの?」

「う、うるせぇよ」


涼すけが初めての彼女な俺にとって
手をつなぐのも初めてで
なにをするにも初めてで

こんなことで俺の心は翻弄される。
…本当情けねぇけど


「…涼すけって、誰かと付き合ってたんだっけ」

「え、私?ううん
中学の時も付き合ってなかったし、高校入ってからはすぐに碧翔のこと好きになってたから初めての彼氏だよ」

「え、そうなの?
俺もわりとすぐ涼すけのこと好きになったんだけど」

「え、そうなの?
なんかそんな感じ全然しなかったのに」

「いやそれ俺のセリフだから」

「…わかんないもんだねー」

「だなー」



< 118 / 133 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop