俺の好きな人は、俺の兄貴が好き。
それから渋谷と原宿をフラフラとして、文化祭で使う店内インテリアの物を購入。
なんせこの女、涼すけが文化祭実行委員だから。
めっちゃ張り切ってるよ、この女。
「……重いわ」
「だらしないなあ」
「買いすぎだろ!
今から服買いに行くってのに!」
「ロッカーにでも入れていけばいいよ!
それよりもう4時過ぎたからそろそろ行かないとー」
「はぁ?5時からだろ?」
「並ばなきゃなの!入店制限かかるから!」
・・・まじかよ、おい。
たかが兄貴のために俺は並ぶのか?マジなのか?
・・・ま、マジだよな…
ってことで、渋谷駅のコインロッカーに荷物を突っ込み、ついでに涼すけのスクバに入ってた弁当箱までもいれて鞄を軽くし、渋谷のファッションビルへと到着した。
今日のここはすごい。
ビルにでっかいポスター貼ってあるんだけどそれも朝陽。
エントランスドアにも朝陽。
朝陽がモデルを勤めるブランドがある5階まで向かうエスカレーターにも朝陽。
5階につけば、当然朝陽。
そして、店頭には朝陽だらけ。そしてでかでかと『店頭販売17時スタート!』と。
「これさぁ、どういうシステムなわけ?
順番に入って、運が良ければASAHIってやつに接客してもらえるってこと?」
「まぁ簡単に言えばそうだね。
でも写真は絶対撮ってもらえるから、そのとき話せるはず!」
「ふーん…」
朝陽が接客、ねぇ…
俺は別にどっちでもいいな。
普通にほしい服を自分で選んで買うわ。
ってか女だけできてるやつはなにを買うわけ?
男物だけだよな?ここ。
「……ってか涼すけが持ってるそれ、なに」
「あ、これ?
ASAHIくんへのプレゼントっていうか、差し入れ!」
「へー、中身は?」
「んとねー、ホットアイマスクと靴下」
「・・・なに、そのチョイス。」
「なんかわりとエナジードリンクとかあげてる人が多いけど、頑張ってね!というよりしっかり休んでね!っていうものを私はあげたかったのね。
それと、前にも店頭販売来たんだけど、そのとき写真撮るための金額にちょっと足りなくて、間に合わせに靴下を買ったからそれをASAHIくんにあげたの。
そしたら『靴下は消耗品だし、すぐ穴開けちゃうから嬉しい』って言われたからまた靴下にしたの。
今度はちょっといいやつ~」
「・・・好きだなぁ、お前」
「当たり前じゃん!
ASAHIくんのためならなんでもするし!」
・・・そうですか。