俺の好きな人は、俺の兄貴が好き。
前回に引き続き、今回も30分使ってきっちり買い物。
5000円なんて余裕で超え、2万近く買い物をしたから
これも例によって、朝陽との記念撮影に…
…って、これはさすがに涼すけやるよな…?
俺はまじで遠慮しとくけど…
と思っていたら
涼すけがちゃんと朝陽のとこに言ってくれたから、俺は横で終わるのを待っていることにした。
「あの、これっ…!」
「あ、いつもありがとう」
涼すけは買ったばかりの靴下の差し入れを渡して、いつも通り兄貴がお礼を言う。
このあと少し会話して写真撮影、ってのが前回の流れだったから今回も同じかなと思っていたら
「あの、私これでイベント来るの最後にします」
そんなことを涼すけは言った。
「え、えーーと…
それはなんで?」
驚きの一言に、俺もだけど
さすがに兄貴も驚いた感じでそう涼すけに問う。
そりゃそうだ。
今まで散々イベント通って、兄貴に尽くしてきたのに…
「私がASAHIくん好きだと、碧翔の家族と向き合えないから。
これからは碧翔を最優先に考えていきたいから。
だから、今までありがとうございました」
「そか。こちらこそ今までありがとう。
涼ちゃんの靴下、これからも破れるまで履かせてもらうね」
「はい!」
そんな会話をして、いつも最後にしていた写真撮影はせず
涼すけは兄貴に頭を下げて店を出た。
「涼すけ、本当に兄貴のファンやめんの?」
「うん。っていうかね、もちろんこれからも応援はしてるんだけど
碧翔と付き合えたら、なんかASAHIくん見ても前みたいな興奮ないんだよね。
好きだし、これからも変わらず応援はするし頑張ってほしいけど
今は碧翔が一番かなって」
「…そ。
じゃあ俺も、涼すけって呼ぶのやめるかな」
「え、別にやめなくていいよ?
私わりと碧翔が呼ぶ涼すけっての、好きだし」
「えー、でも友だち感すごくねぇ?」
「まぁ時と場合によって使い分けてくれればいいよ!
ケンカしたときに涼すけとか言われると戦意喪失しそうだし」
「はは、じゃあケンカした時は涼すけって呼ぶようにするわ」
「うん、お願い」
「…帰るか」