俺の好きな人は、俺の兄貴が好き。
「お、お邪魔します…」
めちゃくちゃ静かに入る涼すけに
「いらっしゃい」
母さんは優しく迎い入れた。
「初めまして!荒木涼と言います!」
「初めまして。
碧翔の母の松野美鈴です。
ごめんね、急に呼んでしまって…」
「い、いえ…
あの、これ!よかったら皆さんでどうぞ!」
「あ、ありがとう。
あとでみんなで食べようね。
碧翔、スリッパ出してあげて」
「はいはい。
涼すけ、これな」
俺はしまってある、来客用のスリッパを涼すけに差し出して
俺らはとりあえず夕飯できるまで部屋にいることにした。
「あー、碧翔の部屋っぽい」
「え、意外とキレイにしてるじゃん!とか言われるかと思った」
「いや別に碧翔基本いつもきれいじゃん?
ロッカーも机の中も綺麗だし、部屋も綺麗なんだろうなって前から思ってたよ?」
「あ、うそまじで?」
「うん」
そんなどうでもいい話をしていたら、さゆりさんが俺の部屋まで飲み物を運んできてくれた。
「あ、そっか
家政婦さんがいるから部屋がきれいなのか」
「・・・まぁ、そうともいう」
俺の部屋の掃除、完全にさゆりさんに任せっぱなしだもんな…
見られて困るものなんてなにひとつない。
…まぁ、兄貴は自分で掃除することもけっこうあるけど…