俺の好きな人は、俺の兄貴が好き。



「碧翔に似てるってことは、俺も似てる?兄貴に」

「え、んー
飛鳥くんは今まであんまり意識したことないからわかんないけど
でも飛鳥くんって碧翔にも似てるって思わないから、違うんじゃないかな」

「え、似てないんだ。双子なのに」

「全然違うよ」


…そ。涼すけはちゃーんと俺のいいとこ見てくれてるんだよ。
兄貴ばっかりじゃなくてさ。


「ちなみにどんなところが似てる?」

「んーそれはわからないんだけどね」

「わからないんかい」


まぁなんだっていいけどさ


「はい、ご飯にしよー」


そういって母さんと父さんと咲空が運んできたのは
なんかいつもにも増してすっげぇ料理たちだった。


「すげぇ豪華…」

「そりゃ碧翔に初めての彼女だし!
こんな家に遊びに来てくれたし!
気合はいるでしょ!」

「こんな食えんのかね…」


「料理上手とは知ってたけど、本当にすごいんですね…」

「涼ちゃんも、食べてもらいたい人ができたらこのくらい作れるようになるよ」


そうやって、碧翔のお母さんは私ににこっと笑った。


「そういや美鈴、それ俺の母さんにも言ってたよな。
食べてもらいたい人ができたからですーって。

俺の母さんに言ってんのに、その相手は俺じゃないっていう悲しさ」

「あはは、別に貴也のためでもあったじゃん!」

「完全俺はおまけだったよ」


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