俺の好きな人は、俺の兄貴が好き。
「で、誰なわけ?その人」
「父さんじゃないって」
「んー、まだナイショ。
咲空が20歳になってから、ね」
「なんだそれ」
「まぁ母さんの大切な人は、お前らにとっても大切な人だから
本当のこと知るには、もう少し大人になってからだな」
「それ別に俺はもうよくない?」
「朝陽だけに教えたら朝陽だけ特別扱いみたいになるでしょう?
知る時はみんな一緒なの。
そんなことより、冷める前に食べよ!
いただきまーす」
「…いただきます」
俺らにとっても大切な人、ねぇ?
誰だろ…母さんの大切な人…瑠樹くん・・・なわけねぇよなぁ?
あの人のこともたぶん大切なんだろうけど、母さんが
『食べてもらいたい人』っておもうのはちょっと違う気もするし。
「涼ちゃん、どう?食べられる?」
「はい!すっごい美味しいです」
「そっか、よかった」