俺の好きな人は、俺の兄貴が好き。
そのまま兄貴が会計までして、俺らは写真撮影。
俺も兄貴もここまできて一緒に写真を撮る、なんてことは別にしたくもないから
普通に涼すけと兄貴が写真を撮る。
ついでに涼すけが兄貴にプレゼントを渡す。
もうこう見ると本当にただのモデルとファンにしか見えない。
そしてやっと俺らはこの店からでた。
「はぁー…今日のASAHIくんも安定にかっこよかったぁ…」
そういう涼すけと、
後ろでは別の女の子と写真を撮る兄貴。
……兄貴も大変だな…
「ってか碧翔接客されてたし、めっちゃラッキーだね!!」
・・・どこが。
普通に今夜も一緒にテレビ見るわ。
……でも、兄貴がきてよかったな…
コート手にとって値段みて戻すなんて、そんなダサいとこ、涼すけに見られたくなかったし……
それに意外としたなー…
あのブランドけっこう高いのな…
「碧翔、このあとどうするー?」
「……もう6時過ぎてるし、帰宅コースだな。
涼すけ家どこ?暗くなるし送るけど」
「うわ、碧翔が紳士。」
そりゃ好きな女がへんな男にナンパされたり襲われたりしたら困るからな。
「でも私は杉並区だから駅まででいいよ。
電車降りたら自転車だしね。
ロッカーから荷物取り出して帰ろ」
ということで、俺たちは駅に向かった。
その間もずーっとなにかを話してる。本当にこいつといると話がつきない。
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「碧翔、本当にいいの?」
「いいって。これもって電車で帰るのも、自転車で持って帰るのも、明日学校に持ってくのもしんどいだろ?」
今日、学祭のために買った荷物は俺が自宅へ持って帰ることに。
……やっぱ、好きな子相手にはいじわるもしたくなるけど優しくもしたくなるわけで…
それに、普通に考えて俺んちのが近いのに、これを涼すけに持たせて帰すのはさすがに気が引けたから。
「……なんか、逆にごめんね?」
「しょうがねぇなぁ
明日、ジュースおごってくれよなっ」
「なら自分で持って帰る」
「嘘に決まってんだろが
さっさと帰れよ」
「はいはい。帰るよ。
……碧翔って意外と優しいとこあんじゃん」
「はぁ?俺はいつも優しいわ!」
「はは、はいはい。
じゃね、また明日」
「おう。」
ってことで、ようやく涼すけは改札を通っていった。
涼すけが見えなくなったところで、俺も帰路につくべく後ろを振り返る
「彼女?」
「う、わ!!……って、咲空(さら)かよ…」
振り返ればそこには俺の妹が立っていた。
「なによ」
「別になんでもねぇよ。
しかも彼女じゃなくてクラスメイトだし、今日はただの学祭の買い出し」
「へー。で、碧翔が荷物持ちなわけね」
「うっせ」
「ま、せっかくここで会ったんだし一緒に帰ろ」
「どうせ帰るところは一緒だしな」