俺の好きな人は、俺の兄貴が好き。



翌日

俺はいつも通り飛鳥と学校に向かい、にぎやかな教室へと入る。
さすがのこのクラスも、数日後に迫る文化祭の準備で大にぎわいだった。


「おっはー」


そんな準備すら俺は手伝わない。
…まぁ、正確には朝が遅くて俺も飛鳥も準備に間に合わないんだけどさ…


「あ、碧翔きた!!」

「お前おせぇよ!」

「わりわり」


クラスの友達が遅く来る俺に駆け寄る。
いつもはそんなことないから、いったいなにがあったんだ?と不思議がっていると

「碧翔彼女できたわけ!?」

なんか、とんでもないことを言い出した。


「はぁ?」

「昨日碧翔準備サボって早く帰ったろ!」

「俺ら準備終えて帰る前にファミレス寄ったんだけど、そこで碧翔見てさ!」

「お前女の子といただろ!」

「しかもめっっちゃ可愛い子!!」

「いつの間にあんな可愛い子捕まえたんだよ!」


・・・可愛い子?
渋谷?ファミレス?


「……あぁ、咲空か」

「うわー、碧翔が女の子の名前呼び捨てにしてるよー」

「似合わねー」

「うるせぇよ!
ってかあれ彼女でもねぇし。
ただの妹だし」

「「「・・・妹?」」」

「そう」


その明らかながっかり感。
なんだよ、そんなつまんねぇかよ。


「…そうだよな
碧翔に彼女は早いよな」

「まじで抜け駆けかと思った」

「な。ってかどんだけ妹可愛いんだよ」

「まぁ飛鳥もイケメンだもんなぁ」

「お前ら…それは俺がイケメンじゃねぇってことか!!」

「はは、碧翔も黙ってりゃまだまともなんだけどな~」


……うるせぇよ


< 21 / 133 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop