俺の好きな人は、俺の兄貴が好き。
「…ちょ、それ俺にも見せて―」
俺は週刊誌を見ながら固まる涼すけのところに行き、俺もその記事を覗き込んだ。
そのページには見開きででっかく兄貴と、兄貴の腕を掴んで寄り添う、短いスカートを履いた女性の姿。
…でも、待てよこれ
なんか見たことあるような…
「…ちょい、貸して」
明らかにショックを受けている朝陽ファンから週刊誌を奪い、俺はその記事を読んだ。
一緒に買い物に、一緒に車に乗り込むところの写真…
後ろ姿しか映ってねぇけど、見間違えるわけねぇ。
「…なんだよ、母さんかよ…
彼女じゃねぇじゃん…」
どうみてもこれは俺の母さんだ。
普通に、母さんと兄貴。
まぁ母さんって兄貴と出かけるとき、やたら若作りしてくもんな。
バレないように、って…
「え、お母さん?
これ、碧翔のお母さんってこと?」
「…え!?い、いや…」
やっべ、声に出てた…
完全に聞かれてんじゃん!!
「碧翔のお母さんて。ASAHIくんと知り合いってこと?」
「や、えーと…」
「ねぇ、どういうこと?」
どういうこと、って言われても…
まさか、「家族です」なんて言えねぇし…
「え!?」
俺が困っていると、
その週刊誌を持ってきた女子がスマホをみて驚いた声を出していた。