俺の好きな人は、俺の兄貴が好き。
「そんなこと言うなよ~~」
「こら男子!
そんなこと言ってないでさっさと準備やってよ!
間に合わないじゃん1!」
「あー…、はいはい」
涼すけがでかい声でそう言ったから、うちのクラスは一気に準備モードが復活した。
ってか俺、何すればいいんだろ。
「碧翔、ちょっと」
「…ん?」
みんなが俺から離れ、一瞬ボーっとしたら
なんか涼すけが俺の腕を掴んで廊下を出た。
「ちょ、どこ行くんだよ」
「ゴミ捨て!」
そう言って涼すけは持っていた1つのゴミ袋を俺に差し出した。
「あー、ゴミ…」
ゴミかよ、なんだよ…
いきなり俺の腕掴んで教室から連れ出すから、なにかと思ったじゃねぇかよ、全く…
俺は大人しくそのゴミ袋を受け取って、涼すけとゴミ置き場へと向かった。
「碧翔」
「んー?」
「さっき、ごめんね。
大きな声であんなこと言っちゃって」
「え?あー、
別に、元々俺が隠しきれなかったのが悪かっただけだし。
涼すけのせいだとか思ってないから」
「…うん、でもごめん。
碧翔、家のこといろいろ聞かれるの嫌だって言ってたのに」
あー…、そんなこと言ってたな、俺。
でも別に、俺が自分で言ったことだし…
「…そんなん気にすんなっつーの!」
俺のせいで涼すけが落ち込んでんのは
まじで見たくない。