俺の好きな人は、俺の兄貴が好き。
俺らはそんないつも通り過ぎるテンションで、無事ゴミをゴミ置き場へと置くことができた。
「あ、碧翔くん!」
「は?」
え、なになに誰
誰か知らんけど俺の名前を呼んでこっちに走ってくるんだけど。
しかも2人。まじで誰だよ
「ね、碧翔くんのお母さんが美鈴ちゃんって本当!?」
「え、あー…」
なるほど、そういうことね
そりゃ俺が知らないやつが俺んとこ来るわ
「私たち、美鈴ちゃんの大ファンで!!」
「へぇ、そうなんだ。
じゃあ俺忙しいからー
涼すけ、行くぞ」
「え、ちょっ…」
俺は適当に流して、涼すけの腕を掴んでさっさとその場からいなくなった。
ああいうのが一番だるい。俺目的じゃないくせに俺のところに来るやつ。
…はっきり言って、飛鳥だけでも厄介だっていうのに
「碧翔、ちょっと早いって」
「え、あぁ悪い」
じゃっかんイライラして、俺はペースとか考えずに涼すけの腕を掴んだまま歩き続けていた。
そりゃ身長差もあるわけだし、男のペースを女に合わせたら早かったよな…
「な、んか
碧翔の機嫌の悪いところって初めて見たかも」
「はぁー?
それじゃ俺が能天気人間みたいじゃねぇか!」
「あはは、ごめんごめん。別にそういう意味じゃないけどさ。
碧翔って誰にでも優しい感じするから」
「え、俺?
そうでもないけどなー」
さっきだって友だち相手にうるせぇとか言ってたし。
普段から飛鳥にも結構ひどいと思うし…俺優しいのかな?
涼すけのことも散々からかってきたっていうのに。