俺の好きな人は、俺の兄貴が好き。



俺らはそんないつも通り過ぎるテンションで、無事ゴミをゴミ置き場へと置くことができた。


「あ、碧翔くん!」

「は?」


え、なになに誰
誰か知らんけど俺の名前を呼んでこっちに走ってくるんだけど。
しかも2人。まじで誰だよ


「ね、碧翔くんのお母さんが美鈴ちゃんって本当!?」

「え、あー…」


なるほど、そういうことね
そりゃ俺が知らないやつが俺んとこ来るわ


「私たち、美鈴ちゃんの大ファンで!!」

「へぇ、そうなんだ。
じゃあ俺忙しいからー

涼すけ、行くぞ」

「え、ちょっ…」


俺は適当に流して、涼すけの腕を掴んでさっさとその場からいなくなった。
ああいうのが一番だるい。俺目的じゃないくせに俺のところに来るやつ。

…はっきり言って、飛鳥だけでも厄介だっていうのに


「碧翔、ちょっと早いって」

「え、あぁ悪い」


じゃっかんイライラして、俺はペースとか考えずに涼すけの腕を掴んだまま歩き続けていた。
そりゃ身長差もあるわけだし、男のペースを女に合わせたら早かったよな…


「な、んか
碧翔の機嫌の悪いところって初めて見たかも」

「はぁー?
それじゃ俺が能天気人間みたいじゃねぇか!」

「あはは、ごめんごめん。別にそういう意味じゃないけどさ。
碧翔って誰にでも優しい感じするから」

「え、俺?
そうでもないけどなー」


さっきだって友だち相手にうるせぇとか言ってたし。
普段から飛鳥にも結構ひどいと思うし…俺優しいのかな?

涼すけのことも散々からかってきたっていうのに。


< 34 / 133 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop