俺の好きな人は、俺の兄貴が好き。
ゴミを捨て、俺は体育館へ向かった。
とりあえず飛鳥んとこ行こう、と思って。
で、体育館来たら
「なに、この人…」
めっちゃ人がいた。
まぁもうすぐ飛鳥のライブだし?それも早いもの順で席が決まるからこうなって当然なんだけど、それにしても人おおすぎ…
「あ、先生
俺ちょっと中入っていい?飛鳥に用があるんだけど」
「…まぁ、松野なら特別にいいよ」
入り口いた軽音部の顧問はそういって、少しだけドアを開けて俺を中に入れてくれた。
まぁ身内はOKだよな。
「飛鳥~」
静寂な体育館内。
飛鳥たちは練習していないのか、めっちゃ静かだった。
「ん、なに」
そんな体育館に俺の声が響いて、飛鳥はステージ横から顔を出した。
「バッドニュースだぞー」
俺はそういってステージに上がった。
やたら静かだと思ったら、ここには飛鳥しかいなく、飛鳥も飯食ってた。普通に。
「なに、」
「今日のゲストの話」
「あー…、もしかしてまじで母さん?」
「いや、違う。
母さんじゃなくて、兄貴だった」
「はぁ!?」
「おかげで体育館の外はすでに人だらけだよ。
飛鳥たちは有料でチケット制だから人数決まってるけど、ゲストは無料で誰でもOKじゃん?
だからすっげぇ人。
飛鳥のライブが終わってしばらくしたら解放されるけど、そしたら一気に人だらけになりそうだな」
「…それで今年はそんなに内緒にしてたわけな、学校側も…」