俺の好きな人は、俺の兄貴が好き。



そっから俺は演劇部の部室へと向かった。

俺がここに来るのは初めて。まじで俺誰だよって感じだよな、知らない人からしたら…


知らないやつがいきなり来て、いきなり演技に加わるとか、俺でもお前なんなんだよって思うわ…


「んじゃとりあえず碧翔んとこやるかー」

「本当に俺でいいんだかねー…」


そんなことを言いつつ、とりあえず言われた通りのところを演じる。

昨日父さんに言われたことをひたすら頭に入れて。


『ちゃんと感情を入れろ。
伝えたいことを伝えるために感情は必須だ』


そういう父さんだったけど
伝えたいこと、ってなんなんだか…


「碧翔…」


ん?


「…ってか、本当に碧翔か?」

「はぁ?なに、どういう意味だよ」

「すっげぇいい!めっちゃいい!
やっぱ役者の息子は違うなー」

「はぁ?関係ねぇし。
どんだけ練習したと思ってんだ!!」

「あ、練習してきたんだ!?
意外過ぎだけど、これなら安心して役任せられるわ!」

「はいはい」

「んじゃ全体通すかー」


部長がそういうと、一気にみんなが動いた。
まぁ俺も一応犯人の親友役だから最初から最後まで出番あるから動いたんだけど。

いきなり来て、いきなりこんな役って、まじでどうなんだよそれ…
普通に1年にやらせればいいと思うの俺だけかな


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