俺の好きな人は、俺の兄貴が好き。
___で、最後まで一回通したら
「よし、いいだろ」
そういう顧問の声が聞こえ、一気に脱力…
1時間の演技か…つっかれるわー…
「松野は衣装合わせしてけよ」
「えー、俺だけ…」
「ちゃんと部活に来ないからだろ」
「…はいはい」
とはいえ、元々この役をやるやつとは体型が似てるから、衣装をほぼほぼピッタリ。
…あ、衣装の都合で俺になったのか?もしかして。
ありえるわー
まぁなんでもいいわ。
「あ、松野」
「んー?」
「親御さんのこと、みんなにバレたんだって?
何人か俺に聞きに来たやついたけど」
「あー…、つい俺がポロっと…」
「はは、バカだなぁ。
まぁよかったんじゃん?ずっと秘密にしとくのも無理あったんだし」
「まぁ…面倒なやつから話しかけられたりすることがすっげぇ増えたけど、でも俺の友だちとかがあんまり変わらなかったから
別にもっと早く言ってもよかったかも、とは思った」
「だろ?
別に秘密にすることなんてねぇよ」
…でも
もし兄貴と家族だってバレたら、俺はそっちの方が怖い。
涼すけが変わりそうで。
それに、俺自身が変わりそうで。
みんな俺の家族目当てに近づいてきてんじゃないかって、疑いまくりそうで…