俺の好きな人は、俺の兄貴が好き。



俺は演劇部の部室を出て、また1人でふらふらと歩いた。
どうせあと30分もしないで体育館へと向かわなければならない。

俺は飛鳥のライブチケットを持ってないけど
体育館へと向かった。










「ねぇ、俺チケットないんだけど入ってもいい?」


体育館の入り口にいる軽音部の1年に声をかけるけど


「えーと…チケットないと…」


と、普通に断られた。
いやまぁ、それが普通だよな?うん

だって俺通したらこの入り口で列作ってるASAHI目当ての人たちに恨まれそうだし。


「あ、松野また来たのか」

「あ、先生~
俺中に入れてくれない?暇なんだよ―」

「演劇部はもう少しあとだろ」

「だからこそ暇なんじゃん」

「んー…」


やっぱり先生に頼んでも入れてくれないか、と思ったけど
先生は考えた末、俺のこそっと


「裏側から入れ。
控室に、松野のお兄さんがいるぞ」


と言ってきた。


「え!!なんで先生それ…!」


父さんと母さんのことは知ってて当然だけど
なんで兄貴のことまで知ってんの!?
今まで知らなかったくせに!!


「はは、まぁ行けばわかるよ」


なんだよ、それー…



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