俺の好きな人は、俺の兄貴が好き。
「ってか17時スタートとか遅。」
「いいじゃん!ちょうど文化祭の買い出しも頼まれてたし、先に買い出しいって、そのあと行けば!」
まぁいいけど。
……ま、兄貴も大学いってからじゃそのくらいからになるか…
「ってか俺、1回家に帰りたいんだけど」
「え、なんで?」
「……財布忘れたから?」
「はぁ?だっさ!
え、てか家どこ?近い?」
「まぁ、歩いていけるけど」
「じゃあ先に碧翔んち寄って、そのあといけばいいじゃん!だめ?」
「……まぁそれでもいいけどさ」
「けってーい!」
でも、ただ靴を履き替えたいだけ。
さすがにそれ言うのはハズくて無理だったけど
……でも、なんか最近誰かと家に呼んだことがないから…違和感しかない。
とりあえず、両親が芸能人だとか、兄貴がASAHIってことは内緒にいてるから、母さんに連絡はしておいた。
鉢合わせになっても困るし。
とはいえ、母さんはライブの練習があるから遅くなり
父さんは撮影で20時頃までいなくて
兄貴はイベントあるから当然家にはいなくて
……まぁ、飛鳥はどっちでもいいけど
咲空も部活で帰りは飛鳥と同じくらい。
母さんからもまったく問題なしとの返答。
そして放課後
「碧翔行こっ!」
俺は初めて、好きな子と放課後一緒に遊ぶことになった。
「あんま急ぐとパンツ見えるぞ」
「っ!……碧翔の変態!!」
「男なんてみんなそんなことばっか考えてるっての」
「そんなことないよ!
ASAHIくんは絶対そんなこと考えてないよ!」
・・・たしかに。
兄貴はそういうのに興味無さそう
「……でも実は彼女とやることやってんだよ」
彼女はいないらしいけど。
「……ASAHIくんに彼女、かぁ…」
でもなんか、涼すけは俺の予想とは違った反応を見せた。
「あんだけかっこいいんだから、きっと彼女とかいるよねぇ…
いいなぁ、彼女さん…」
「……なに、妬いてんの?」
「え?…そんなんじゃないけど、でも
ASAHIくんはどんな女の子を選ぶのかなぁって思って」
そういう涼すけはまじで恋する女の子って感じ。
目が、本気。
俺には普段見せない表情をしていた。
「……実際は忙しくてそれどころじゃないんじゃね」
「たとえいなかったとしても
生きる世界が違うから、想ってても意味ないよね」
「……そんなんわかんないんじゃねぇ?」