俺の好きな人は、俺の兄貴が好き。



「みんなが憧れる世界だからこそ、いろんなことがあるから、希望をもってここに来ちゃだめなのよ」


ふーん…、そんなもんかね…


「あ、やべ俺そろそろ行かねぇとだ」

「そう?
じゃあ碧翔、またあとでね。
頑張りなさいよー?」

「俺はいつだって手抜きだっつーの!」


そういって俺はここを出て、演劇部の控室へと向かった。
…本当、こっちはあっちと違って適当だわ…


「あ、碧翔おせーぞー」

「悪い悪い」


ここからだと、飛鳥のライブの音がすっげぇよく聞こえる。

飛鳥のライブが終わって、客席が入れ替わってから、演劇部がスタートする。


みんなが緊張する中、適当な俺だけ着替えてスマホをみていた。
…みんな台本みてるんだけどな…


そんな俺のスマホがブブブと震えたと思えば

『ちゃんと頑張んなよー?』

と、涼すけからLINEが届いた。


『俺はいつも手抜きだっつーの』


全く。俺を誰だと思ってんだ!
常に適当の碧翔だぞっ


『いやだから頑張んなよって』


・・・あ、なるほど
俺のことちゃんとわかってるから、あえて送ってきたのか。

頑張る、っていうより
恥さらしはしない。ちゃんとやる。

涼すけがみてんだから。


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