俺の好きな人は、俺の兄貴が好き。



「あ、飛鳥お疲れ」


あーだこーだしてたら
ちょうとライブを終えた飛鳥が控室へと戻ってきた。


「…おう、碧翔。
お前手抜くなよ?」

「はぁ?俺はいつも手抜きだって」

「お前な、両親のことがバレたんだ。
…適当にやってたら、父さんの顔に泥塗るだろ」

「え?」

「歌手と役者の息子。
その俺らがへたくそだと、両親の顔たてられねぇだろ」


あー…、そういうこと気にするべきなのか
…でも、うまくて当然みたいな見方されんの、飛鳥嫌いだろ。
めっちゃ努力してんのに。


「いつも適当なんだから
たまには本気の顔、見せてやれよ」


飛鳥はそういって、着替えに行った。


本気の顔、ねぇ?
俺に似合わないやつ…


「あ、碧翔」

「んー?」


今度は演劇部の俺のダチが俺を呼んだ。
なんだなんだと、俺が顔を向けると、そいつは俺に近寄ってきて


「最前列にいるぞ、お前の涼ちゃん」


と、やたらにやけた顔で言ってきやがった。


「だ、からなんなんだよ!」

「あ、碧翔じゃなくて
ASAHIを観に来たのか。悪い悪い」


こいつー…、俺が涼すけのこと好きって知ってるからって…


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