俺の好きな人は、俺の兄貴が好き。
「ま、好きなやつの前ではちゃんとかっこつけろよ?」
はは、と笑って
あいつは着替えに向かった。
かっこつけろ、か。
すでにかっこ悪い姿晒しまくりだっつーの。
もう今更俺に怖いもんなんてないわ。
「碧翔も早く着替えろよー」
「はいはい」
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着替えもして、髪の毛もセットして、
準備万端、俺らはステージの脇へと移動した。
「あーー、緊張する」
俺のダチはそんなことを言うけど
俺は全然緊張しない。
こんなに緊張しない俺もなかなかじゃねぇ?
舞台慣れしてるわけでもねぇのに、普通にいられる。
人前っていっても、ステージが明るくて客席が暗いから、客席大して見えなそうだし。
なんて考えていたら
”ブーーーッ”と音が鳴り
『第5部、演劇部による演目
仮面舞踏会が始まります』
というアナウンスがされた。
いよいよ、俺らの出番。
拍手され、仮面舞踏会ということで全員が仮面をつけてステージに移動し、幕が開いた。
俺なんて後ろで適当に踊ってるだけ。
俺のセリフはまだ先だ。