俺の好きな人は、俺の兄貴が好き。
ともあれ、無事に終わった演劇部公演。
俺は部員のみんなと控室に戻ると、先生がすぐに出ていくように言い、みんなで荷物を持った。
着替えは部室で、かな。まぁ私服みたいなもんだし。
「あ、松野ちょっと」
「え、俺―?」
顧問に手招きされ、先生のところにいくと
「あ、松野くんお疲れ様」
なんか知らないけど、教頭が立っていた。
「あー、はい。なにか用ですか?」
「いや、連れてくるように言われてね」
教頭はそういうと、みんなが出て行ったのを確認し
さっき、母さんたちがいた控室へと通した。
「あ、碧翔お疲れ」
「あー、うん。
なんか用?」
控室に入ると母さんと兄貴、社長さん、いつもの佐藤さん、それに飛鳥もいた。
「…とりあえず着替えれば?」
「あー、うん」
飛鳥がそういうので俺はさっさと服を脱いだ。
って、教頭もいないし…
なにこれ、なんで俺呼ばれたの。
「碧翔、役者にならないか?」
「・・・社長さん本当相変わらずだなぁ。
俺は芸能界とか興味ないって」
「なんでだよー。さっきの演技、すっげぇよかったのに。
やりたいことないんだったら、大学行きながら演技の練習すれば絶対もっと伸びる」
「…って言われてもねー
なんせ興味がないもので」
俺が役者とか、想像できねぇ。
まだそこらへんで営業マンやってる方が想像できるわ。
「ま、気が向いたらいつでも連絡してくれよな」
・・・なんかそういったら普通名刺とか出てきそうだけど
普通に連絡先知ってるからか、そういうものは全く出てこなかった。
仕事用の連絡先は知りませんけど…