俺の好きな人は、俺の兄貴が好き。



『それではASAHIさん、よろしくお願いします』


そんな会話をしていたら会長からお呼びがかかり

「行ってくるわ」

兄貴はそう言って、ステージに出た。


その瞬間湧き上がる歓声。
みんなASAHIのこと好きなんだなぁ…
ってか女子ばっか・・・


「あ、碧翔の好きな子最前列じゃん」

「え、碧翔の好きな子!?どこどこ!?」

「ちょ、うるせぇし!」


客席が見れる小窓から覗いていた飛鳥が変なこと言うから、母さんも変なとこ食いついたじゃねぇか…


「いや、どこって言われても…」


・・・ま、制服着てる人多いし、伝えづらいよな…


そんなことより兄貴のこと見てやれよ…


『ASAHIさん、今日はよろしくお願いします』

『はい、こちらこそよろしくお願いします』


質問に答える、ねぇ。
どんな質問が来てんのかねぇ…


『では早速、質問コーナーに入らせていただきますね』


会長の簡単な挨拶と説明から入り、すぐにメインの質問コーナー。
これで30分か。あっという間に終わりそ。

ってか質問って今日急遽応募したやつなわけだし
なんか変な質問ばっかり来そうだな―…


『ではまず最初に、
モデルをやっていて良かったこと、逆に良くなかったことはなんですか?』

『よかったこと…んー、そうですね
…たぶん、モデルでなくてもそうですが、社会勉強になったことですかね。
スタッフさんへの挨拶とか…
俺は高校卒業まで先生に挨拶とか真剣にしてなくて…、挨拶する癖をつけていなかったので、すれ違ったときとかにできなかったりしたので
挨拶の大切さはなかなか学校では学べないので、いい社会勉強になったかなと思います。
良くなかったことはー…、時間が足りないことですかね。
地方でイベントとかあると家に帰る時間もなかったり、撮影が押すと家は寝に帰るだけになるので…
大学の勉強と共立するのが大変ですね』


…いや、これ
そんな長々答えてたら絶対30分じゃ足りないって。
もっと適当に答えればいいのに…


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