俺の好きな人は、俺の兄貴が好き。
「あとさー、ぶっちゃけると
私知ってたんだよね」
「え!?え、なにを…?」
「だから、碧翔がASAHIくんの弟だってこと」
「は!?え、なんで…!?」
「あのー、前一緒にASAHIくんのイベント行って、私がASAHIくんと写真撮ってもらってた時、碧翔外で待ってたじゃん?
そん時言われたの。これからも弟をよろしくねって」
はぁー…?
なんだそれ、聞いてねぇ…っていうか、兄貴もそんなこと勝手に言ってんなよな…
「あの時は驚きすぎたけど、イベント行く前に碧翔んちいって、家が複雑だからって言ってたから、突っ込んじゃダメなんだろうなって思って
ずっと、知らないふりしてきたの。ごめんね?」
「い、や…別に
ってか黙ってたの俺だし」
「ずっと、ASAHIくんと碧翔が似てるなって思ってたって言ったじゃん?
声とか、笑った顔とか。あと話し方とか。
だから碧翔が弟って知ったとき、もうすべてが納得したっていうか、だからかーってなったもん。
話し方とか一緒すぎて、ASAHIくんが調子乗ったら碧翔だからね」
…そか、知ってたのか。
知っていながら、誰にもなにも言わず、知らないふりして、いつも通り俺と接してたんだ。
なんなんだよ
どんだけいいやつなの、涼すけ。
「…なんか俺さ、両親も兄貴も芸能界だし、飛鳥もバンドやってて人気あって、妹もわりとモテるみたいだし
俺だけ平凡で、前から自信なかったんだけど
今日みんなに家族のことバレて、でもみんな対応なんにも変わらないし、興味もないし
どうでもいいやつがいきなり俺に話しかけてきたりすんのに、いつも一緒にいる涼すけたちはなんにも変わらなくて
俺、友だちのセンスあるなって思い知ったわ。
俺の友だちみんないいやつすぎて」
仲よくするやつ、間違えてなかったな―って
今回、身に染みて思った。
家族で一番地味な俺だから自信なかったけど
それでも俺を選んで仲良くしてくれてるこいつら、最高すぎ。