SUGARと堕天使。
プロローグ
「…では、怪我のないように!
以上!起立、礼。よいお年を」
担任の永沢の声で、あっという間に高校1年目の二学期が終わりを告げた。
「シホ~帰ろー?」
佳織がマフラーを巻きながら、あたしに寄ってきた。
「あー、うん。帰る帰る!・・・はぁ~、ヤバイよね。早くない?高校生活とか絶対短いよね」
「だよね!あたしもそう思った!もう2学期終わったの?みたいなね。」
実感ないよねー。
…あたしと佳織は延々と『早いよね』トークを繰り返していた。
やっと、荷物の整理を終えて、あたしもチシャ猫カラーのマフラーを首に巻いた。
相変わらず派手だね。と佳織がピンクと紫のしましまを凝視する。
まぁ・・・普通はチェックとかね。そーいうのですからね。
「今学期も結局来なかったね。」
「??え、何が?」佳織の突然の話の切り替えに対応できなかった。
「何って、<登拒否クン>のこと。」
ああ、とあたしは納得した。
入学式の時から一度も顔をだしたことがない、飯島尚樹という少年を、あたしたちは登拒否クンと呼んでいた。