SUGARと堕天使。
「でさー、昨日の10時からの・・・」
いつもどおり、ゆっくりと道を進んでいく途中、佳織はいつもの調子で、ずーっと喋っていた。
あたしは、佳織に適当に相槌をうちながら、微妙な大きさの茶封筒の持ちにくさに少し苛立っていた。
「ねぇ?聞いてる?」
「え?」
ふと我に返り、佳織の指が指し示した場所を見ると『飯島』という名前があった。
「ここじゃないの?登拒否クンの家。」
「あっ、そうだった。うん、そう、ここ。」
予想と違い、飯島の家は大きな3階建ての一軒家だった。まだ綺麗な壁がまぶしい。
あたしは茶封筒を持ち直して、インターホンを押した。
ピンポーン
・・・誰もでないし。
ピンポーン
・・・・ドタドタドタッ・・・
誰かが階段を下りてくる音が聞こえた。
「はーい!」
やけに幼稚な女の子の声がしたと思ったら、すぐに扉が開いた。
小さな女の子が顔をのぞかせている。
「あ・・・と、こんにちは。若葉原高校1年3組の佐藤です。あの、尚樹君は・・・」
あたしがボソボソと言うと、少女はあたしに向かって手招きした。
「どうぞ、入って!知ってるよ!ナオ君のお友達だよね。2階にいると思うから。」
「え、あ、」
あたしが困惑していると、すかさず佳織があたしの背中をどついた。
「どうも!同じクラスの吉原佳織ですっ!おじゃましまーす!」
「えっ」
あたしは、佳織を追いかけるように、家に入った。