SUGARと堕天使。
家の中はいたって普通だった。
白い壁、フローリング、明るい茶色で統一された家具。
急いで階段を上ると、やっと佳織に追いついた。
『ちょっと、佳織!勝手にあがりこんだらやばいよ。』
『大丈夫だよ。あの子がいれたんだもん。』
小声で会話をしながら、2階へとあがる。
少女は廊下の突き当たりの部屋の前でノックをした。
「もしもーし?ナオ君?クラスメイトさんがきてるよぉ」
・・・
「ナオくーん?」
・・・
「・・・」
鍵の開く音が静かに響いた。
少女はあたしたちに目配せすると、またねと言って1階へ行ってしまった。
「・・・いいのかな?」
「うん、大丈夫だって。それ渡すんでしょ。」
佳織は強引にあたしを押しのけ、ドアノブに手をかけた。
ガチャ
「失礼しまーす・・・」
おそるおそる部屋をのぞくと、中は家具の少ない、綺麗な空間がひろがっていた。
登校拒否の少年の部屋と言ったら、汚いだろうと思っていたから意外だった。
「・・・どうも。こんにちは。」
ベッドに寝っ転がったまま、飯島尚樹は視線だけあたしたちに向けた。