SUGARと堕天使。
大通りに出て、あたしと佳織は手を振った。
家はすごく近いけど、大通りの向こう側とこっち側だから。
「バイバ~イ!よいお年を!」
「どーせまだ、今年中に会うけどね!んじゃ、バイバイ!」
大通りからほんの少し脇道をいくと、自分の家につく。
軽く振り返ると、大通りを横切る佳織の後ろ姿が小さく見えた。
「ただいま~」
マンションのインターホンを押して、気の抜けた声をだした。
飯島は受け取った茶封筒の封を開けて、中の書類を机の上にだした。
風に飛ばされて、数枚が部屋に散らばる。
「ったく・・・」
微かにため息をついて書類を拾うと、窓を閉めてカーテンも閉めた。
少しずつ暗くなる空を見ながら、飯島は小さな星のピアスを右手で揺らした。
左手を書類にのばす。
「『飯島尚樹様』ねぇ・・・」
「あー!!!!」
手を洗いながら、あたしは悲鳴をあげた。
「何!?うるさいよ!」
向こうでお姉ちゃんが怒っている。
あたしは気にせず、鏡に顔を近づけた。
左耳のピアスがない。
高かったし、何よりお気に入りなのに!
思い当たるのは飯島の家だけ。
あたしはため息をついて、自分の部屋に向かった。