SUGARと堕天使。

飯島は騒ぎ疲れたらしく、無愛想な表情で机の上に飛びのって座った。

レインと呼ばれる少女はまだ頭をさげている。


飯島はあたしに向かって口を開いた。

「・・・なんで、ここに?」

あたしは、急いで頭を整理しなおして答えた。

「あ、ピアスを落としたらしくて・・・探しに・・・」

飯島はムッツリしたまま、何かポケットをごそごそと探ると、星のピアスをあたしに投げた。

「それだろう。今、確かに返したからな。おい、レイン。そいつを記憶処理して帰らせろ。」

「はいっ!」

レインと呼ばれる子は即座に反応すると、あたしを1階まで案内しソファに座らせた。

「え・・・あの・・・」

あたしが何か言おうとすると、レインは、少し目を瞑ってねと言った。

よく分からなかったけれど、とりあえず目を瞑っていると、身体にグッと衝撃が走るのが分かった。痛みはないけれど。

脳がうずく、心臓が震える、手足が痺れる。

30秒くらいたって衝撃は止み、目を開けると、何も変わらなかった。

「またね!」
少女はあたしを玄関までおくると、笑顔で手を振った。

あたしはよく分からないまま、手を振りかえして、家に帰った。


-(この時シホは、記憶を失っていた。)-



シホが家を去ったあとに、レインは急いでまた尚樹の部屋に向かった。

「レイン。分かってるな。」

尚樹は低い声で唸った。レインは無言で頷いた。

「・・・俺はひきつづき、『仕事』をする。お前も引き続き仕事を。」

「わかりました。」

レインは顔に似合わない落ち着いた声で答えると、会釈して部屋をでた。
< 9 / 17 >

この作品をシェア

pagetop