SUGARと堕天使。
飯島は騒ぎ疲れたらしく、無愛想な表情で机の上に飛びのって座った。
レインと呼ばれる少女はまだ頭をさげている。
飯島はあたしに向かって口を開いた。
「・・・なんで、ここに?」
あたしは、急いで頭を整理しなおして答えた。
「あ、ピアスを落としたらしくて・・・探しに・・・」
飯島はムッツリしたまま、何かポケットをごそごそと探ると、星のピアスをあたしに投げた。
「それだろう。今、確かに返したからな。おい、レイン。そいつを記憶処理して帰らせろ。」
「はいっ!」
レインと呼ばれる子は即座に反応すると、あたしを1階まで案内しソファに座らせた。
「え・・・あの・・・」
あたしが何か言おうとすると、レインは、少し目を瞑ってねと言った。
よく分からなかったけれど、とりあえず目を瞑っていると、身体にグッと衝撃が走るのが分かった。痛みはないけれど。
脳がうずく、心臓が震える、手足が痺れる。
30秒くらいたって衝撃は止み、目を開けると、何も変わらなかった。
「またね!」
少女はあたしを玄関までおくると、笑顔で手を振った。
あたしはよく分からないまま、手を振りかえして、家に帰った。
-(この時シホは、記憶を失っていた。)-
シホが家を去ったあとに、レインは急いでまた尚樹の部屋に向かった。
「レイン。分かってるな。」
尚樹は低い声で唸った。レインは無言で頷いた。
「・・・俺はひきつづき、『仕事』をする。お前も引き続き仕事を。」
「わかりました。」
レインは顔に似合わない落ち着いた声で答えると、会釈して部屋をでた。