キミに好きって言えなくて。
まぁでも、いつか、
もし、名前で呼び合える日が来たら、
すごく幸せなのかな?
なんて思わないことはないけど。
そんなの夢のまた夢だ。
そんなことを考えてると、
急に教科書で頭をバシッと叩かれた。
「いたっ!」
横を見ると、鬼の形相をした数学の先生、武田先生がいた。
えっ!いつの間に授業始まってんの!?
っていうか…やばそー…。
「おい、吉沢…。
お前、何回も名前呼んでんのに、何考えてんだ?
後ろの席だからってボーッとしてたろ?」
「はい、すみません。」
「お前、今日、放課後、外周掃除決定な
俺にチェック受けるまで帰さん。
はい、じゃ、吉沢飛ばして綾瀬。」
ゲッ。今日部活行けないじゃん!
明日からテスト期間で部活休みなのに〜
最悪だぁ〜〜
なんて思ってると、
「sin(90°-θ)=cosθ」
と後ろから冷静な声が聞こえた。
「さすが綾瀬。」
そう言って武田先生が教卓の方へ戻っている隙に、後ろから背中をグイッと引っ張られた
ぱっと後ろをみると、
「ばーか」
と口パクで私に言ってクスクス笑う綾瀬。
そして、それに続いて、私の左隣の列の3人もクスクスと笑った
綾瀬のせいだし。
なんて思いながらも、そんなことは言えるはずもなく…。
4人に笑われ続けた。
もー、ほんと最悪だし。