キミに好きって言えなくて。



「は?


お前、せっかく俺が教えてんのにしっかり聞いとけ!」




なんて怒られちゃった。




ですよね…。




でも、近くで聞こえる綾瀬の低い声とか、



今にも当たりそうな綺麗な左手とか、



少し動くだけでふわっと香る綾瀬の匂いとか…



私の集中力を途切れさすにはもってこいのものばかり。





勘弁してよ…。




なんでこの人、家でやろうと思ったんだろ…



もっと、ファミレスとかカフェとかあったのに…。



この天然悪魔め…。




そう心の中で悪態をつくと、さっきより何となく落ち着いた気がした。




「ごめん、次からちゃんと聞く!」



私がそう言うと、


「当たり前だろうが」



といつもの調子に戻った。




とりあえず、よかった…。



そしてそれからは、頑張って集中して、今日わからなかったところは一応、

全て教えてもらった





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