キミに好きって言えなくて。




結局繋がれてた手は花火の見物スポットに行くと、離されてしまったけど、



なんとなく、心がまだ繋がってるようなそんな気分。





打ち上がる花火を見ながら、ふと右隣の綾瀬を見るとパチっと目が合った。



『好きだよ、綾瀬』



心の中でそう呟いたら、今だけは彼にこの気持ちが届いているような気がした。




私からすっと視線を外して花火を見る綺麗な横顔に、ピンクや緑と、どんどん花火の色が映る。




綺麗…。



この横顔をずっと見てたいな…



なんて思ってると



「あんまじっと見んなって。

結構、恥ずかしんだけど。」




と、ほんのり彼の頬が赤く染まったような気がした。




花火のせいかもしれないけれど、ちょっとでも綾瀬が同じ気持ちだったらいいのになって。




綺麗な夜空に願いながら、結局それからもずっと綾瀬の横顔を見つめていた。




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