キミに好きって言えなくて。
真剣な顔付きのあとで、少し照れたように賢也が笑う。
圧倒された。
いつもバカみたいに騒いでうるさいのに、
こーゆう時はしっかり相手の気持ちを汲み取って、
今1番言われて心が軽くなる言葉を言えるんだ
確かに、賢也の言う通り。
希の長年の恋は無駄なんかじゃない。
そして、賢也が言うように、先輩を好きになれてよかったと思う日がきっと来るんだろうと素直に思った
帰りのバス。私の隣にはなにかスッキリしたような清々しい表情をした希。
賢也がいなかったら希が今、こんな表情でいることはなかったんだろうななんて思うと、やっぱり賢也はすごい。
失恋はした当初は辛くて辛くて、なんで上手くいかないんだろって泣いちゃうかもしれないけれど、
結局はその人を大きく成長させてくれてるんだよね。
そのことに気づかせてくれた賢也を改めて尊敬すると同時に、
失恋がこわくて何も出来ない私に不甲斐なさを感じた。