好きが伝われ



日が経って行くにつれて、体育祭に向けての熱気が強くなっていく。


そして当日。


朝九時集合。

翔太は莉玖君と今日は行くって言うので、今日は一人で学校まで登校する。


なんだかんだいって、翔太がいないとつまらんな。

こんなこと、死んでも翔太に言えないけど。



学校について、教室に入る。

あれ?翔太先に行ったはずなのにいない。
トイレでも行ってるのかな。


「紫衣!おーはよ」

歩夏は、長い髪の毛を上手に編み込んで、おさげにしてる。

「いいな~、歩夏は器用で」

「そんなことないよ-!ていうか、紫衣はなにもやらないの?髪の毛

そのくらいの長さなら、アレンジできそうなのに」


私の髪の毛は、だいたい鎖骨くらいまでの長さ。

確かにアレンジできることにはできると思うけど…


「髪の毛だけは自分でできないの、歩夏知ってるでしょ?」

「あ~、そういえばそうか。じゃあ、あたしやってあげる、来て」



歩夏は私をトイレまで連れてきた。

トイレは鏡がついてるから、女子トイレはほぼ化粧室。


コテまで使う人もいる。

すごいな、気合いが違う。



「紫衣っぽくはないけど、これでいいよね?」

歩夏は自分の髪型を指さして言う。

え?つまりこの私が。二つ結びってこと?



んー。ま、まぁやってもらえるならなんでもいいか。

「うん!よろしく~」



数分かけてできた。

歩夏とおそろいの髪型。セットが完了すると同時にチャイムが鳴る。


急いで教室に入る。

グラウンドに出る前に、教室内で出欠確認。


確認が終わると、順番にグラウンドに出て行く。


私たちのクラスは6組だから、最後の方に呼ばれるからそれまではぐだぐだタイム。



「紫衣ちゃんと歩夏同じ髪型なの?可愛いね」

「でしょ~これ私がやったんだよ?」

「すごいすごい」

明らかに棒読みな返事の莉玖君に、怒る歩夏。


二人とも仲良いな~

「紫衣っぽくないけどな」

「そんなことわかってます~」

「似合ってなくはない」


意外にも、翔太が私を褒める。

それに驚きすぎて、翔太を黙って見つめちゃう。


「ん?」

バカっぽい顔で見つめ返してくる翔太。

「なんでもなーい」

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