好きが伝われ
私たちもグラウンドに出て、準備運動だか開会式を終わらせる。
初っ端から、私の種目が来る。
100M走って、朝一番のプログラムにするにはハードすぎませんか?
種目決めるとき、何でも良いなんて言うんじゃなかったな。
しかも、一年生からだから早いし。
心の準備くらいさせてよ~!!
私の走る順番が徐々に近づいてくる。
「紫衣!がんば!」
歩夏はレーンのすぐ近くで応援してくれてる。
莉玖君はといえば、女子から写真をせがまれてて、翔太はどこにいるかすらわからない。
ちょっとは応援してよね!
ま、歩夏がしてくれてるだけでもありがたいか。
ついに順番が回ってくる。
ドキドキするよ~
「位置について~…よーい…」
・・・
「ドン!!」
一気に駆け抜けたいところだけど、人生そう簡単にいくわけないよね。
走り始めて中盤まで来たところで、盛大に転ける。
は、恥ずかしすぎる…
起き上がりたくない~!!
って言っててもしょうがない。
私が起き上がろうとすると、目の前に人の影。
「運動神経がなくなったのか?」
翔太が腕をつかんで立たせてくれる。
「あぁ、大丈夫です。保健室すぐそこなんで、俺が連れて行きますよ」
たぶん集まってきた先生たちに、翔太が説明してくれてる。
先生たちと保健室なんて、恥ずかしいもん。
まだ翔太の方がいい。バカにされるけど…