好きが伝われ


無意識に練習風景を見てしまった。


タイミングがいいのか、ボールが飛んできた。



拾い上げると、「あれ?紫衣ちゃん?見に来てくれたの?」息切れしてる恒樹さんが。


恒樹さんの優しい声に、涙が出そうになる。




「ちょっと、音が聞こえたから…つい」

「そっか。ありがとな?」



ボールを受け取ったあと、私の頭に手を置く恒樹さん。


あぁ、だめだ。泣きそう。




「あ、れ、練習の邪魔になるので、で、でわ!」

逃げるように歩き出すと、腕を掴まれる。


「邪魔じゃないし。つか、泣きそうなのにそのまま帰すわけないでしょ。」


バレてた…



「な、泣いてないです。あ、それにもうすぐ大会で…」

「もうさ、思いっきり泣いてよ。俺さ、紫衣ちゃんが辛そうに泣くの我慢してるのが1番キツい」


「でも、泣いたら迷惑だし」


「じゃー…はい」
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