好きが伝われ
「あ~疲れた」
「やっとお昼だな」
騎馬戦は無事に終わって、二人も楽しめたらしい。
莉玖君も翔太も、帽子を一度も取られて無くてすごかった。
騎馬戦が午前中のプログラムの最後。
だから、これから私たちは教室でお昼ご飯を食べる。
疲れた後のおにぎりは最高に美味しいなぁ。
「紫衣ちゃん怪我平気?」
莉玖君が心配そうに膝をのぞき込む。
「うん!平気平気~」
「リレーでは気をつけてね」
「わかってるって~。私ちょっとトイレ行ってくるね」
教室を出てトイレに向かう。
個室に入ると、他の子たちが話しながら入ってくる。
こういう子たちは、鏡でお色直しでしょうね~
「さっき転んでた子、塩谷君の友達?」
「しらなーい。けど、なにあれ、わざと?」
え!私のこと?!
さっき転んだの、私しかいないもんね…
「塩谷君に介抱されたかったんでしょ、絶対」
「いや、そうとしか思えない。あざとすぎ~」
会話がどんどん小さくなっていき、彼女たちがトイレから出て行ったのがわかる。
盗み聞いてたわけじゃないけど…
やっぱこういう話は、聞くだけ損だ。
あんなことだけで妬まれるの?
女の嫉妬って、お化けより怖いかも…