好きが伝われ


「なんで?シンガポールに」

「建築の仕事したいんだけど、それを学びにシンガポールに行くんだ。

親父がシンガポールの会社の人と仲良くて、その伝で学ばせてくれることになったんだ」


建築の仕事…


そういえば昔、家建てたいとか言ってたけど。

あの時は小学生だったし。




「どのくらい…?」

「まぁ、1年…いや2年か」

「結構長いんだね」

「まぁ、そうだな」



冷静な翔太に少し苛立つ。

「もっと早く言ってくれれば良かったのに」

「最近決断したから今日言おうと思って」

「いつ行くの?」

「卒業式の日だけど?」



え、卒業式の日って…もう一週間しかない。


「な、なんでそんな…平然と…」

翔太は、夢を追いかけてる。


それを応援するのが、一番いい。けど…



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