好きが伝われ
「あ、遅かったじゃん!やっぱり膝痛かったの?」
歩夏が笑ってくれてよかった。
友達がいることでこんなに救われるんだ。
私、運動神経も悪くなったし、メンタルも弱くなってる。
はぁ。リレー走るの憂鬱だな…
お昼休憩も終わって、午後のプログラムが始まる。
応援席に座ってると直射日光で暑いから、裏庭のベンチに座ることにしよう。
裏庭に向かうと、目の前に人がいることにも気づかないで突進してしまう。
「目、見えてる?」
「あ、ごめんなさい」
「あ、もしかして君さっき転んでた子?」
ここでも認知されてるなんて。
よく見ると、二つ上の先輩だ。
よく歩夏がイケメンだって言ってる。
「あ、ごめん。バカにしてるんじゃないよ?俺、伊賀恒樹(いが こうき)。君は?」
「大園紫衣です。」
「紫衣ちゃんか。で?そんな浮かない顔の訳を教えてくれる?」
とりあえず誰でもいい、話さないと気が済まない。
さっきトイレであった出来事を伊賀さんに言ってみる。