好きが伝われ


帰りの電車が同じらしく、着いてきてくれた。


「いや、しっかし美人になったなぁ。

あんなに可愛い紫衣ちゃんが、今はもう大人。なんか新鮮」

「恒樹さんは今何されてるんですか?」

「カメラマンだよ〜。てか荷物見て気づいて欲しいかな、はは」


そういえば、カメラ持ってた。

しかも、凄いしっかりしたやつ。


「相変わらず、頭の中は塩谷くんでいっぱいって訳か」

「そういうわけではっ…ないです」

「…なんかあったの?」


すぐに察してくれるあたり、高校時代から変わらない。


2年経ったのに、まだ帰ってこない事を打ち明ける。

「え、それ平気なの?連絡とかしてる?」

「最近繋がらなくて」

「やばいじゃん、塩谷くん生きてるよね?」


縁起でもない発言に、何も言わずに泣いてしまった。
「ごめん、ちょっと意地悪がすぎちゃった

泣かないで?ごめんごめん」

そう言って頭をポンポンされる。
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