好きが伝われ
「あぁ~。女子って本当にそういうことあるんだね」
「そうなんです。私も悪いのかもしれないけど…」
「え?それ本気で言ってるの?」
え?どういうこと?
はてなマークを前面に出すと、伊賀さんは苦笑いで話してくれる。
「紫衣ちゃんの言うその…塩谷?って言う子は誰のものでもないじゃん。別に悪びれる必要はないでしょ?」
伊賀さんの言ってることは実にその通り。
「仮にその子に彼女がいるなら、話は変わって来ちゃうんだけどね」
そうだよね。いま、翔太には彼女はいない。
ま、いたらさすがに私も空気読むでしょ。
でも考えたこと無かった。
翔太に彼女ね~
・・・想像できない。
「この後種目は?」
「あ、色別リレーです」
「あ、最後か。頑張ってね、俺も陰ながら応援しとく~」
伊賀さんは立ち上がって、グラウンドに向かう。
何となく一緒に行くのは気まずいから、もうちょい後にしよう。
「紫衣ちゃん、今の人誰?」
莉玖君が急に姿を現す。
「どっからでてきた!?」
「いや、俺は虫かよ」
「あ、いまのは三年生の伊賀恒樹さん。さっき知り合ったの」
ふ~んと莉玖君は怪しそうに私を見てくる。
私間違ったこと言ってないよ??
「ま、今のは翔太には内緒にしといてあげる~」
「え?」
なんで?翔太に言っちゃいけないことなんて、今言った?
いやいや、別に全部はなしてくれてかまわないよ!?
私の気持ちも知らずに、莉玖君はルンルンとグラウンドに行く。