好きが伝われ
「携帯、何回電話したと思ってんの?」
「あ、それに関してはすごい申し訳なく思ってる。
海に落として、そのまま無くなった」
「どんだけ心配したと思ってるの!」
「だからごめんって」
ごめんと言われて済む問題じゃない。
「それに!この香水の香り、なに?」
「なにってこれは…貰いもん」
「これ、ぜんっぜん似合ってないし。貰いもんって絶対女の子からだよね?
私バカだけど、さすがにそれは分かるよ?男で香水あげるなんて聞いたことないもん。」
ツンと鼻にかかるような匂い。
女の人が選びそうな香水。
「さすがだな、俺の匂いの変化にまで気づくとは。
どんだけ俺の事好きだよ」
「翔太は私の気持ち全然わかってないっ!」
「わかってないのは、紫衣の方。
俺聞いたよ?会社の先輩に言い寄られてることとか、
道でモデルやらねえかって、変な男に絡まれたこととか。
ほんとはそいつら殴って、二度と近づけたくないけど。今こうして独占できてるのは俺じゃん?」
「独占って…」
「ていうか、俺は紫衣のことなんでもわかってると思うけど?」
「ど、どこが!?」
「だって…」