好きが伝われ
「ごめん、感動で泣いてる?それとも辛くて?」
紫衣はそう言って俺の頬を触る。
「…泣いてねーし」
あんま泣き顔見られないように、紫衣を抱きしめた。
なんだよこれ、ずるいだろ。
こんなの泣かないやついるか?
いないだろ。
「翔太ごめんね?私嘘つくの下手だから、もし直接聞かれたら隠せないって思った。
それに、どうしてもサプライズにしたかったの。
翔太はいつも私を驚かして、喜ばせてくれるから」
「…」
「でも、こんな辛い思いさせるならサプライズしなきゃよかった。
ごめんね。嫌いになったりしないで。」
あーだめだ。こいつ、やっぱり鈍感は変わらない。
「なぁ、俺が嫌いになるわけないし。
つかそんな可愛い理由とか、反則すぎ。」
「か、可愛いって。これでも真剣に悩んで…」
「わかってる。あ、もしかしてプレゼントって」
「知ってるの?」
「え?紫衣じゃないの?」
「…え?私?」
俺の腕の中から、俺を見あげるその目。
今この腕の中にいるこの体。
「そう。紫衣の全部が俺へのプレゼントかなーって。
あれ?違った?」
「ち、違う〜!もうっ!」
俺の腕からするりと抜け出した紫衣は、紙袋に入ったプレゼントを渡してくる。