好きが伝われ
私は結構疲れ切ってて、帰る支度をしてるときはほとんど無言だった。
「じゃ、今日はお疲れ。解散」
担任からそういわれて、一斉に帰り始める。
「翔太たち!これからクラスの子たちと打ち上げでカラオケ行くんだけどどう?」
莉玖君は相変わらず元気ね。
「私はパス~」
歩夏行かないなら。私もいいや
「私も。」
「えー、じゃ翔太は?」
「ん~。めんどくさい。」
莉玖君はどこか寂しそうな気がする。
そんな莉玖君に、歩夏が近づく。
「莉玖、帰った方が良い。体調悪いでしょ?」
その発言に、私だけじゃなくて莉玖君も驚く。
「なんで、それ」
「わかるに決まってるじゃん。何年の付き合いだと思ってるの?」
「…いや、ゆーて4年」
「正解!はい、てことで早く帰りなさい。いつもふざけてるんだから今日くらい休みなよ」
莉玖君は仕方なく納得する。
「悪いっ、また今度な!」
手を合わせて、クラスの子たちに謝る。
歩夏と莉玖君は家が近いから、二人で一緒に帰るらしい。
「じゃ、また来週ね~」
「うん!じゃあね~」
莉玖君体調悪いなんて、私気づかなかった。
歩夏よく気づいたな。
「俺らも帰るか」
「あ、うん」
学校を出て、家に向かって歩く。
疲れてるからか、足が重い。
「いつになく歩くの遅いな」
「だってー、疲れたし~」
翔太が販売機で飲み物を買う。
「あ、一人だけずりぃ~」
「…子供かよ。今日だけな」
私の分の飲み物も買ってくれた。
今日の翔太、いつもより優しく感じる。
「ありがと。」
缶ジュースだから、冷たさがすごい伝わってくる。
暑いからちょうどいい。
缶をおでこにあてる。