好きが伝われ
テスト週間が終わる。
「で?紫衣ちゃん出来はどう?」
「…やばいかも、どうしよ~」
「紫衣は心配性ね、きっと平気でしょ?あんたの幼なじみを信じなって!」
そんなに心配することないだろ。
今回のテストは、俺とやった範囲の所ばかりだったし。
数日後、テストが返ってくる。
俺と莉玖は、ほぼ90点代。
「うわ、俺今回英語は勝ったと思ったんだけどな」
俺の点数を見て悔しそうにする莉玖。
俺らが点数競って楽しんでる中、紫衣は一人で黙ってる。
まさか、赤点でもあったのか?
今回の平均点からして、赤点は30点くらいか。
そんな悪いわけないだろ。
「紫衣?どうだった?」
「これ…」
紫衣は俺にテストの結果を渡してきた。
英語が80点で、数学が88点。
「いや、めっちゃいいじゃん」
「どれ?ほんとだあ~。紫衣やるじゃん!」
何に不満があるのかわからないけど、とにかく紫衣はこの点数に納得してないらしい。
「赤点なしだから、夏休みは遊びまくれるね!」
小野は喜んでるけど、紫衣はそれにあまりに薄い反応。
「なに、どうしちゃったのこの子は」
小野が俺に聞いてくるけど、正直わからない。
「なに、どした?点数間違いとかがあるのか?」
「ううん…なんか、私でもこんな点数出せるのかって思って」
「なんだ、そんなこと~?紫衣ちゃんは頑張り屋だし、この点数でも驚かないけど?」
莉玖は褒め上手だな。慣れてる。
俺は褒めようにも言葉が出てこない。