好きが伝われ
「そうかな。私今回頑張ったよね!?翔太!」
「おう、俺のスパルタ教育にも耐えたしな!」
紫衣は徐々に元気を取り戻した。
「これで夏休みが楽しめそう~」
帰り道もニコニコしながら返る紫衣。
子供かよ。
「じゃ、また明日」
「あ、翔太!」
「ん?」
紫衣が鞄から何かを取り出す。
なんだ?
「ありがとう。私のために時間割いて勉強教えてくれて。」
改まって礼言われると、なんか…恥ずかしいな。
「別にいいよ。そんな時間使ったってほどでもないし。」
「次からは嫌だったら、言っていいんだからね?」
「嫌じゃねぇよ、ばーか。じゃあな」
紫衣は手を振って家に入っていった。
…俺は、莉玖みたいにはできねーな。
絶対無理だ。あんな優しい言葉思いつきもしない。
学校の女子にはクールでかっこいいなんて言われてるけど。
実際、あいつらも付き合うなら優しいやつの方がいいんだろうな。
特に、紫衣みたいな鈍臭いやつには。