好きが伝われ
「あ、え?私たち?」
泳ぐのをやめると、明らかに大学生っぽい人二人がこっちに来る。
「そうそう。今って平気?」
「えっと、なにか?」
一人の男の人が自分の顔に生えてる顎髭を触りながら話し始める。
「君たちさえよかったら、一緒に遊ばない?」
「そうそう。二人だけじゃつまらなくない?」
え?これ、もしかして…
「お兄さんたち、ナンパですか?」
歩夏ははっきりそう聞く。
「ナンパじゃないよ」
「ただ誘ってるだけ」
いや、それをナンパって言うんじゃないの?
一人の人は無駄に髭を生やしてて、その隣にいる人は見た目からして頭がよさそう。
いかにも、自分たちはかっこいいって思ってそう。
なんか…むかつく。
「私たち、連れがいますので、遠慮してくれますか?」
歩夏がきっぱり断る。
「えぇ?それって男?」
「そうですが」
「でも、カレシとかじゃないんでしょ?」
「何が言いたいの?」
「誰の女でもないなら、俺の女になるとかどう?」
言ってることがさっきからチンプンカンプン。
歩夏の返事も軽い感じで話してくる。
「歩夏、もう戻ろうよ」
「そうしよ」
また泳ぎ始めようとすると、男二人組がついてくる。