好きが伝われ


私のことでずっと心配しててくれたんだ。

「そんなの…いいのに」


胸がほんわかするような感じがした。

翔太といると、安心する。


確かに、肩に触れられたときはすごく気持ちが悪かった。

でも…


「あの時…翔太が、来てくれたから、平気。翔太がいてくれるだけで、安心できるから。」

翔太は私を見てくる。


わ、私としたことが…


こんなこと翔太に言ったところでバカにされるに決まって…

「俺もだよ…」


へ!?


「ええええぇ!」

予想外すぎる展開に、大きな声を出してしまう。


「なんだよ!」

「だ、だって今ぁ!あのバカにすることしかできない翔太の口から、そんな素直な言葉が出るなんて…」

「…バカにしてんのはおまえだろうが!!!」

「いっつも翔太が私をバカにしてくるんだよ!」

「それは、紫衣がどうしようもなくバカなときだけだっつーの」

「嘘ばっかり!」



私たちはすぐに喧嘩しちゃう。

本物の兄弟みたいに。


でも、本当は…



「も~二人とも~!早く戻ってこないと全部食べちゃうよ~!」

歩夏が私たちに向かって叫ぶ。


え!お肉全部!?


「だめだめ~!!」


翔太と私は二人で走って戻った。


< 35 / 177 >

この作品をシェア

pagetop