好きが伝われ
BBQも楽しんで、海も楽しんだ。
片付けながら、花火をやろうとお思っていた矢先。
「あぁ!!!嘘でしょ?ない…ない…」
歩夏は何かを探してるみたい。
しかも、すごい必死に。
「どうした?」
莉玖君がすかさず駆け寄る。
「この鞄に入れてたお財布が…なくて…」
「嘘、本当に?」
「うん。紺色のやつ。」
「みんなでとにかく探そ!どこかに持って行った記憶はない?」
歩夏はすごい萎えてる。今にも泣きそう。
大事なものを急に無くすことがどんなに不安なことか…
私も携帯を無くしたことがあるから、気持ちはわかる。
「ううん、今日は鞄から出してないもん」
「だったら、盗まれた。ってことか」
翔太は冷静にそういう。
「盗む?なんで、みんなここにいたし、盗めるわけない。」
「そうでもないよ。俺ら、歩夏を助けに行った時は四人ともここにはいなかった」
あ。
そうだ。あの時なら…
「お金じゃない。あれには思い出が…」
そうだ。歩夏のおじいちゃんがなくなる前に買ってくれたやつ。
「…そのへん探してくる!!」
「俺も」
私と莉玖君は浜辺周辺をくまなく探した。
まだこの辺に落ちてるかもしれない。
「おい、今更」
「そんなこと言ってる暇あるなら、翔太も探して」
お金だけ盗まれてれば…
私たちは必死で探した。
「もう、いいよみんな。」
歩夏は半分泣きながら言ってくる。
しかも、どんどん辺りが暗くなって周りも見えなくなってきた。
夕日!まだ落ちないでっ
「もう、、見つかりっこない」
「…諦めるのは、まだ早いよ」
莉玖君が道路の方に走っていった。
私たちもその後に続く。
「あった…」
莉玖君が小声でつぶやく。